コンテンツ過剰時代とギタアルアレイ「四畳半の冒険」
こんにちは。
真夏のピークが去ったのでしょうか。
この度、僕が今年から始めた架空のロックバンド、ギタアルアレイの新曲をアップしました。
実は4月から毎月1曲のペースで出し続けてはいるのですが、今回出したこの曲こそ、このバンドの核にあたる曲です。大事。
誰も聴いてねーけど。
というのも、「俺はこんな風にロックカルチャーを楽しんでいってやるぜ!」という意思表示にあたる曲なのです。
昨今は情報過多の時代、コンテンツ過剰の時代と言われます。
IT革命、インターネットの普及とともに、映画や小説、漫画、そして音楽がいつでもどこでも楽しめるようになりました。
音楽に関していえば、ここ数年では特に音楽聴き放題サービスというものが始まり、月1000円そこらで数千万曲がいつでもいくらでも聴けるようになりました。
恐らくちょっとでも音楽好きの家の子供なら、お父さんやお母さんが登録した聴き放題サービスによって、音楽は「いくらでも聴けて当たり前」なものに、すでになっているのでしょう。
月のお小遣いをはたいてようやくアルバムを1枚買って、それを大事に大事に何度も聴くという時代はもう遠い過去のものになりました。
素晴らしい事だと思います。
とってもいい時代になったと思います。
でも、いかんせん、何をどこから聴いていいのか分からない。コンテンツが多過ぎる。
これが、新しい世代特有の悩みだと思います。
たとえば今の50~60代、ロックミュージックの発展とともに育ってきた世代は、ビートルズがいて、ハードロックが出てきて、プログレが出てきて、それがパンクでぶっ壊れて…、という盛衰の歴史を体で経験しています。
だからこそ、思い出とともに音楽を一本の文脈として感じ取ることができる。
のだと、思います。多分。僕は90年代の生まれなので…。
しかしながら今は、その文脈がとても拾いづらい。ロックカルチャーも随分と成熟し、安直に「ロック 名盤」で検索したものを聴こうとしても、あるいは雑誌の特集を調べてみても、もう何百枚という量になってしまう。
「ロック好きならこれを聴け!!」なんてことが言えないくらいに、もう既にロックミュージックは滅茶苦茶に多様化し、膨大なコンテンツになってしまっている。
しかも幸か不幸か今は、その全てにその場で一瞬でアクセスできてしまう。
部屋がレコードだらけの音楽通でなくても、昨日ロックに出会った普通の中学生でも。
それこそ砂漠の中で砂金を探すようなものです。
そういった状況で考えたいのは、「じゃあ、ぼくはどんな風にロックンロールと向き合って行ったらいいんだ?」という事です。
そこで悩み抜いて考えたのが、
「ロックンロールは宇宙だ」
という捉え方です。
マジです。
要は、人間ひとりが認識しきれる情報量をとうに超えた概念という意味で、これは宇宙と呼んでいいんじゃないかと。
そしてストリーミング配信の普及で、僕らはその宇宙を好き放題飛び回ることができるようになった。
それなら、やるべきことは宇宙旅行でしょう。
一つ一つのバンド、あるいは一枚一枚のアルバムが惑星のようなものであって、それぞれに広大な世界があり、歴史があり、エピソードがある。
現代において音楽を聴くとは、そんな星達を駆け回るようなロマンのある行いなのではないかと。
好きな音楽を探すなんていうのは銀河の中で好きな星一つを探すような途方もないことではあるけども、それ自体とてもロマンチックで素敵な事じゃないか、と。
そう考えて、時間をかけて楽しんでいったらよいのではないでしょうか。
そして願わくば、自分自身もそのような星の1つであれるように。
ギタアルアレイはそんなバンドです。
聴いてもらえるだけで幸いです。よろしくお願い致します。
OasisとNGHFBのDon’t Look Back In Anger
お疲れさまです。
梅雨が一瞬で過ぎていきました。夏ですね。
今回は、オアシスの代表曲「Don’t Look Back In Anger」について見てみましょう。みさせてください。
この曲はオアシスの代表曲であると同時にノエルの代表曲でもあり、オアシスが解散した現在でもノエルのバンド・Noel Gallagher’s High Flying Birdsでも演奏されています。
そのため今でもライブで大合唱できるオアシスソングの一つなのですが、オアシス時代とは違うアレンジで演奏されることも多々あります。
ここではその各バンドでの違いを、改めて比べてみたいと思います。
まず、「オアシス版」のDon’t Look Back In Angerです。こちらは正にロックアンセムというアレンジで、ガンと歪んだエレキギターの分厚い音をバックに叫ぶような歌い方で歌われています。メロディがとても綺麗なのに音がヘヴィで、これぞオアシス!という感じです。
また、リアムが舞台袖でタンバリンを持って客を見下しているというのも一つポイントです。
昔オアシス好きの友人が「オアシスは新曲までは作らなくてもいいから、再結成してドンルクやってさえくれれば最高」というような事を言っていました。その時は「いや、ドンルクはリアム何もしてないじゃん…」と思ったのですが、「リアムがステージにいて、何もせず観衆を眺めている」という状況がこの曲の良さを引き立てている…のかも、しれません。
あと演奏面で細かい事を言えば、オアシス版ではノエル自身がギターソロを弾くためカポ無しでのバッキングになってますね。
こちらが最近多いパターンで、アコースティックなアレンジのものです。
歌い方もよりソフトで、ノエルはバッキングに徹しており、そこにセミアコのクリーントーンでそっと乗っかる感じです。
ノエルのアコギはカポ4で、これはGの握り方をするとCになる位置です。ノエルはGのコードの押さえ方にちょっと特徴がありまして、Wonderwall、Live foreverといった他のオアシス曲でもこの少し変わったGがふんだんに使われています。そのため、異なるアレンジとはいえむしろコードの響きはこちらの方がよりノエルの曲らしいような感触さえあります。
元々のバージョンの方がスタジアムロック然としていて、フェスなどで聴くには気持ちいいかもしれないですね。一方でアコースティックの方も、元のメロディの素晴らしさがより際立つアレンジで素敵です。
今年はサマソニで観ることができるので、非常に楽しみです。どっちのアレンジで来るにしてもそれこそこの曲を大合唱したいものです。
はい。
それはそうと、
この間、僕がやっている(自称)バンド、ギタアルアレイでこのOasisのDon’t Look Back In Angerのコピーに挑戦しました。
ライブ音源やアルバム音源を参考にしつつ、ギターはもちろん、タンバリンやストリングスまで聴こえる限り取り込んでみました。
すでに何百回も聴いてる曲ですが、やっぱり自分でコピーしてみて初めて発見できることもあるもので面白かったです。
よかったらきいてみてください。
「The 50kaitenz」を聴いた
こんばんは。
最近どうも生活が…っていうか人生がてんやわんやで、更新スピードが落ちてきました。
それでもどうにか、ギターを弾いて新譜を漁って生きております。
今回は、ザ50回転ズの新作についてです。
ほんともう、大好きなバンドの1つです。
もしかしたら一番ライブで観た回数の多いバンドかもしれないくらいです。
スリーピースバンドで、モッズスーツにおかっぱ頭というコッテコテの格好でラモーンズのような高速ロックンロールをやりよる人達です。
曲はロックンロールへの深~いリスペクトが感じられるものばかりで、チャックベリー、ラモーンズ、AC/DC、ハードロックから演歌まで守備範囲は幅広く、ロックカルチャーの博物館のようなバンドですね。
今回は、本人達曰く9年ぶりのフルアルバムとして今年リリースされた、「ザ50回転ズ」について書いてみたいと思います。
9年ぶりといってもミニアルバムやシングルはほぼ毎年出していたので、久々の楽曲制作ってわけではなかったりします。しかし、フルアルバム単位で50回転ズの新曲を聴くのは確かに新鮮です。今作もまた、ど真ん中のパンクロックからカントリー、モータウン、ジャズ、演歌と古今東西詰め合わせといった内容で素晴らしいですね。かっけぇ。
バンドの名前を冠したアルバムというだけあり、引き出しを全部開けて詰め込んだ作品なのかなと思います。「俺たち、こんなロックやってるぜ!!」というメッセージがビシバシ伝わってきます。それを結成10年でやるのがスゴイ。
そういった意味で1stと比べたくなりますが、より音が丸っこくキラキラして聴きやすくなり、でもバーンとくる衝動は変わらず、熟成度が増したような印象です。
順番に見ていきましょう。
・Vinyl Change The World
一曲目に一番のキラーチューンを持ってくるあたり、流石です。これは以前EPでも発売されていて、結果的にリードシングルにあたる曲ですね。
レコードは世界を変えるぜ!!と。
この人達が言うと説得力が違います。
EPの音源からまた再録されていて、また少し違った味わいになっています。
EPの方はよりビンテージっぽい音作りでしたが、こちらはライブをそのまま録音した(実際そういう録り方のようですが)ような感じで、より熱量があります。
ロックンロールを聴けば時空を超えてぶっ飛ばされて、その間は悩んでることも何も怖いもの無しになるんだっていう、そういうロマンは醍醐味ですね。
ウィルコ・ジョンソンの影響の色濃いカッティングリフがいい味出してますね。
サビはこれ、かなりそのまんまマーシーの情報時代の野蛮人では…と思うのですが、それもよしと。
裏メロの単音ギターもマーシーの曲をとても彷彿とさせます。やっぱりブルーハーツがルーツなだけあります。
また2番で絡んでくるアナログシンセが、今までの50回転ズにはない仕掛けですね。
今回のアルバムは全体的にキラキラ感がすごくありますが、シンセの使用も大きな要因だと思います。
・星になった二人
てってってー、てってっててー、と。
これはもうモータウンのお決まりフレーズですね。斉藤和義の「歩いて帰ろう」と同郷の曲でしょう。
途中ボ・ディドリーのジャングルビートに切り替わるあたりがまた美味しいところです。
50回転ズでモータウンというと「放課後のロックンロール」が思い浮かびますが、今回のこの曲はよりオールディーズっぽく、甘くポップな音作りになっています。
コーラスも綺麗ですね。
・新世界ブルース
演歌は日本のブルースだ!!
という本人達の言葉通り、コッテコテの演歌です。地名が入って男と女の情感がテーマ、と。「演歌風ロック」ではなく、くどいくらいど真ん中の演歌なところが50回転ズらしいと思います。ギターソロはファズかませたような潰れた歪みでまた渋いです。
いつの新世界だ。
・クレイジー・ジジイ
5曲目にしてボギーの趣味が発動という感じで、ハードロックです。
ここ二曲が濃ゆすぎて胃もたれしそうです。最高。AC/DCのようなロックンロールをヘヴィにした曲調かと思いきや、途中からテンポアップして途端にDeep Purpleばりの70年代ハードロックやで~~~ってな感じにシフトするのが面白いところです。
心なしかドラムが楽しそうです。
ギターとベースのユニゾン部分など、ハードロックとしては王道でも50回転ズでは非常にレアですね。
後ろで鳴ってるアナログシンセもなんともDeep Purpleです。
元々色んな曲をやるバンドでしたが、今回さらに個々の芸に磨きがかかってるような気がします。
・ちんぴら街道
三味線ロックです。
そんなことまでやるのか…。
ちんぴら3匹お邪魔します、というあたり実は「レッツゴー三匹」と同じテーマですね。
流れ者の独り言、というような曲ですが、この人達の暮らしそのままだと思うとロマンでしかないですね。
三味線だけれどもBメロのフレーズがどう聞いてもDr.FeelgoodのRoxetteなのがウケます。三味線とパブロック組み合わせようとするのはこの人達くらいなものでしょう。
・ホテルカスパ
これは一変して、ジャズやロカビリーに寄った曲ですね。ウッドベースが渋いです。
歌詞も含めて世界観が一気に都会的になり、それこそ世界中を飛び回っているような目まぐるしさですね。
この曲は特にギターソロが良くて、リバーブきいたローファイな感じがたまらんです。
・デヴィッド・ボウイをきどって
ボウイというからグラムロックかな、と思ったらそんなことはなく、ここにきて真っ直ぐなパンクロックでした。ドリー曲ですね。
ドリーがボーカルの曲は歌詞がロマンチックで、10代の青さがより前面に出てるのが印象的です。星屑の歌、というのはジギースターダストのことでしょうね。
シンプルながら、歯切れのいいギターリフもいい感じです。
・11時55分
これはフォーキーな曲ですね。Ticket to rideなんかも思い出されるような、ビートルズ中期のちょっとフォークに傾倒してる時期の匂いがします。
そしてやはり、メロディがやはりマーシーっぽいですね。夏とか銃声とかあの子にキスとか、歌詞にもブルーハーツ時代のマーシーの叙情性を感じます。
・純情学園一年生
タイトルからしてティーンエイジャーの青春パンクなんだろうなーと思って、まさにその通りでした。
今回アナログシンセがほんとに多用されていて、さも50回転ズの定番かのごとく組み込まれてますね。
シンセが入ったぶんギターがシンプルにまとめられてる印象で、ライブ映えしそうです。
・あの日の空から
ちょっとオルタナっぽい入りから、また真っ直ぐなパンクロックになだれ込む構成です。
「なりたくなかった大人にお前もなったのかい?」というあたりは、なんとなく清志郎っぽい感じでもあります。
A面で古今東西さまざまなジャンルを取り入れている一方で、B面にはストレートな青春パンクが多く組み込まれてますね。
・行こうマチルダ
ラスト曲で、ドタバタで陽気なカントリーですね。最後に明るく終わるあたりが50回転ズらしいです。このヅッツク、ヅッツク、というエレキギターのバッキングは実はすごい難しいと思うんですが、サラッとやりきってますね。
マンドリンもいい味出してます。
はい。
改めてこうして見てみると、初期の頃のパワフルでごった煮の雰囲気はそのままで、より色彩豊かになったような感じがしますね。
硬派なギターロックをやっていたバンドがシンセや色々な楽器を入れるようになると、華やかな反面ちょっと寂しかったりもします。でも50回転ズは不思議とそういう感じが全然しないですね。やっぱり、音楽的な基盤がすごくしっかりした人達だからこそだと思います。
ツアー行けるかわからないんですが、どういうアレンジでくるかもまた楽しみです。
アナログ盤欲しいけど、限定しかないからな…。
「上を向いて歩こう」のどのへんがロックなのか
おつかれさまです。
新しい環境に移ったかたも、ぼちぼち慣れてくる時期でしょうか。
今回は「上を向いて歩こう」について考えてみたいと思います。
言わずもがな日本のポップスのスタンダード曲であり、また当時ビルボード首位を獲得するという、未だにあり得ないレベルの大ヒットを記録した曲でもあります。
有名曲だけにカバーも多いですが、中でもRCサクセションのバージョンが印象的です。
単純なコピーではなく清志郎の味がよく出たカバーになっていまして、これがまたヒジョーに良い感じです。ヒロトと一緒に歌ってる動画もありました。
で、取り上げたいのは清志郎がこの曲のことを「日本の有名なロックンロール」と言っていたことです。
有名というのは分かります。
なにしろビルボード1位ですから、世界で一番有名な日本語曲と言っても差し支えないくらいでしょう。まして清志郎の世代ならリアルタイムですし、なおさらです。
しかしロックンロールかというと、シャウトがあるわけでもなく、リズムが強調された「ドカドカうるさい」曲でもありません。
それでもこれをロックンロールと呼んだのは、どういう部分を指してのことだったのでしょうか。
サクセションのカバーを見てみましょう。
はい。少なくとも形式は、ブラスにギターにオルガンに、ガッツリとロックンロール仕様にリニューアルされていますね。
ただ、例えば雨上がりの夜空にをメタルカバーしたところで雨上がりの夜空がメタルの曲にはならないように、やっぱりマインド的な部分で「上を向いて歩こう」にロックンロールみを感じられるからこそ清志郎もロックンロール仕様でのカバーをやったのだと思います。
では、この曲のどういう所がロックンロールなのか?という話になってきます。
個人的な考えですが、僕はこれ、曲の根っこにブルースがあるからじゃないかと思います。
ブルースの特色のひとつとして、「メジャーコードの明るいコード進行に、辛いこと、悲しいことをテーマにした歌詞を乗せる」ということが挙げられます。ここでいう辛いこと悲しいことというのは、仕事が大変だとかフラれただとか非常に生活感のある現実的な事柄が多いですね。
平たく言えば「辛い日々を楽しく歌う」というマインドなわけです。
これを踏まえて上を向いて歩こうの歌詞を見てみると、まず曲名にあるように「上を向いて歩く」のは、涙がこぼれないようにするため。この歌の主人公は、泣きながら歩く独りぼっちの人です。それでもって、幸せは空の上に、手の届かないところにあると。そして悲しみは月の影に、星の影に隠れてしまう。
顔を上げて胸を張って歩こう、なんて明るい歌では全くないのですね。
しかし、坂本九の原曲はシャッフルの跳ねるリズムでいかにも楽しそうに歌っています。
こんなに悲しい曲なのに、賑やかな居酒屋でかかっていても全然おかしくないような曲調です。これこそ「悲しいことを楽しく歌う」、ブルースの精神なのではないでしょうか。
そして、ブルースが加速してデッカい音で鳴らされれば、それはロックンロールになっていくというわけでして…。
上を向いて歩こうがロックだというのは、おそらくこういう事なのかなと思います。
あるいはもっと捻くれた見方をすれば、ロックンロールを日本で広めたいがために、海外で流行った日本の曲をロックンロールということにしてしまって「日本のロックンロールは世界でも有名なんだぜ!どうだいスゲーだろ!!」と見得を切った・・・という線もありえるかと思います。
清志郎はそういうしたたかさもある人だと思うので、営業戦略的な面もあったかもですね。
いずれにしても良い曲が歌い継がれるのは喜ばしいことではないでしょうか。
桜とロックンロール
こんばんは。
暖かくなってきましたね。皮ジャンパーが焼けるようです。
平成最後の四月です。今年は桜の開花が早くて、もうすっかり散ってしまいました。毎年のこととはいえやはり綺麗なもので、近所の公園の何気ない桜の木であっても、やはり見入ってしまうものです。また、暖かい気候もあって桜並木の下を歩くのは気持のよいものですね。
で、ふと考えたわけです。
桜をテーマにしたロックソングってあんまりねえな、と。
僕が知らないだけというのはもちろんあるかと思いますが、なぜかいくら考えてもほとんど思いつかなかったです。
そもそもロックンロールってアメリカで生まれてイギリスで磨き上げられたようなところがあるので、日本の情緒である桜は合わないのかもしれません。また、本来無骨な不良音楽であるロックンロールでは、華やかで綺麗な桜は題材にしにくいのかもしれません。逆にJ-POPになると、桜とタイトルにつけると曲が売れるというくらい定番となっているのが面白いところです。
折角なので、ロックバンドの曲で桜をメインテーマにしたのはないかな?と探してみました。
先述のとおり、春になったら桜が咲いて…というのは日本の情緒なので、必然的に邦楽ロックを探すことになりますね。
桜の花舞い上がる道を-エレファントカシマシ
一番に、というか唯一浮かんだのがこれです。
ミヤジほど桜が似合うロックボーカルもそういないと思います。
エレカシは無骨なギターロックからポップ寄りまで色々ありますが、この曲はストリングスが多用され、一際華やかでポップなアレンジになっています。
やっぱり桜ってそういうイメージなのでしょう。
桜の季節-フジファブリック
フジファブリックのファーストシングル曲ですね。親しみやすいメロディと裏腹にかなり複雑な展開で、聴くたびに発見がある曲でもあります。初期のフジファブリックってかなりプログレっぽいというか、攻めた曲が多くて面白いです。ロックンロールってよりはロックかな。
なんとなく個人的には、エレカシが満開の桜並木だとするなら、フジファブリックの桜の季節はひっそりと立つ一本だけの夜桜を眺めているようなイメージです。
若者のすべてや赤黄色の金木犀など、フジファブリックの曲は四季折々の情景が織り込まれていて、そこがとても素敵です。
チェリー -スピッツ
これは桜の曲としていいのか難しいところですが…。
全体的なイメージが春っぽいのと、タイトルと踏まえると、Cメロの春の風に舞う花びらというフレーズが桜のことなのかなーと。
これもメロディや音がとても綺麗で、なのに歌詞が抽象的でとらえどころのないあたりが独特です。
子供の頃はただただ良い曲だなーと思って聴いていましたが、大人になって改めて聴くとなにか切実な思いが裏にあるような気がしてきますね。
さくら-グループ魂
うん。
CHE.R.RY- 向井秀徳(カバー)
僕が知る限り桜がテーマで一番ロックなのはこれです。
最初見たとき、タイトルの誤植かと思いました。でも違いました。
いやしかし、タイトル通りならそれはそれで一体何だというのでしょうか。
後輩の曲っていっても、他にもっとあっただろうに…。
本来なら苺のショートケーキにキンミヤ焼酎をぶっかけてサラダボウルに盛って食べるようなミスマッチのはずですが、それでもこの人が歌うとなんかこういう表現なのかなと思えてしまうのが恐ろしいところです。
「指先で送る」がなんか性的衝動的なアレにさえ聴こえてきます。
はい。
こう並べてみると、何だかやっぱりロックバンドは桜に対しては変化球を投げがちな気がしてきます。桜をテーマにした曲はあれど、桜が舞っててキレイだなーみたいな直球の曲はあんまりないような…?
不思議です。
レコードプレーヤーの回転数調整の話
こんばんは。
暖かくならないのに花粉だけ飛んでくるのはどうしてなのでしょう…。
先日、初めてレコードプレーヤーの回転数の調整という作業を経験しました。今回はその話になります。
同じような事で悩まれている方ももしかしたらいるかも知れませんし、ご参考になれば幸いです。
はい。そもそもレコードプレーヤーの回転数って何の話かというところから考えたいと思います。
アナログレコードというものは、盤ごとに回転数が決まっています。一般にLP(いわゆるフルアルバムの大きさ)は1分間に約33回転、EP(いわゆるシングルの大きさ)は1分間に45回転
という速度で回すと、正しく再生されるということになっています。
この回転数が基準より早いと音が高くテンポが早くなり、反対に遅いと音が低くテンポが遅くなってしまいます。よくビデオなんかの早送りでキュルキュルした音が出る表現がありますが、あれはその現象を表したものですね。テープなんかでも同じことがあります。
大体のレコードプレーヤーは33回転と45回転の2種類の速度モードを選べるようになっていて、LPを聴くときは33回転、EPを聴くときは17回転のモードを選択します。
本来ならそれで問題なく聴けるはずなのですが、アナログゆえにこの回転数がビミョーにずれていることがあるようでして…。
33回転(厳密には33と1/3回転)のはずなのに、ほんのわずかに早かったり遅かったりすることがあるんですね。
これによって、再生してみると本来の録音より微妙に音が変わってしまうことがあるわけです。
さて、話を戻しましょう。
僕のプレーヤーはaudio-technicaのAT-PL300というヤツで、1万としないエントリークラスです。それもあってか、聴き続けるうちにいつしか33+1/3回転よりほんの少し早くなってしまっていました。
そのせいで音源がすこーしだけ早く、ボーカルの声が高くなっていたのです。
わずかな違いだったのですが、先日Liam Gallagherのソロアルバムを購入した際に、ダウンロード版と聴き比べて「なんかリアムの声が違うな?」と思い、気がつきました。
別に不協和音とかにはならないので、聴く分に支障ないといえばないのですが、やはり気になりだすと気になってしまうわけで….。
安物だからと諦めていたのですが、よく調べたら自分で細かな回転数を調節できることが分かりました。
いわくプレーヤーの裏面に穴があって、ここにドライバーを突っ込んで回すことで微調整ができるというのです。
説明書でも読んだ覚えがなかったもんで、半信半疑で見てみると…ありました。
これですね。33と45で別のアナがあります。
さっそく手持ちのドライバーを突っ込んで回してみましたが…音が変わらん!!
はい。どうやらこれ、ちょっとコツがいるようです。というのもこの穴、普通のネジ穴ではなくなぜかスポンジが詰まっていて、そこにマイナスドライバーを埋め込んで回すような感じなんですね。カチッとはめてクルッと回すという感触ではないです。
色々試したら、やや細めのマイナスドライバーを深めに差し込むといいみたいでした。
試行錯誤の末、確かにこの穴で回転数が調節できました。しかし今度は、この調節の効きがかなり極端で、いい速度で合わせるのが難しいという問題に直面します。
時計回りに回すと早く、反時計回りに回すと遅くなったのですが、ドライバーを半周も回すともう回しすぎで、メッチャ早くなったり遅くなったりしました。
クルッ、というよりクッ、くらいで少し回しては再生して音を確認して、という作業の繰り返しです。何だかんだ30分以上かかってしまいました…。
ちなみに音の高さはどうやって確認したかというと、再生された音に合わせてギターを弾いて、チューニングのズレがないかで確かめました。原始的です。
回転数を直接調べるツールもあるようですし、他にもCDやダウンロード音源と聴き比べるなど色んな方法があると思います。
あれこれ試した時間も含めて、全行程で一時間くらい格闘していました。
とはいえ分解もせずにドライバー1本でできる調整だったので、比較的気軽に行えました。
これでレコードに合わせてギターが弾けるというものです。
なぜ時間が経って回転数がズレてしまったのかは謎ですが、きっとロックやパンクを再生しすぎてプレーヤーがテンション上がっちゃってハイになっていたのでしょう。
ウェーーーイ!!!みたいな。
なんかこういうのもアナログならではって感じで風情がありますね。
GLIM SPANKY最強説
こんばんは。
1ヶ月ぶりの更新になります。
ちょっとハンター試験のようなアレがありまして、間が空いてしまいました。
少し前の話になりますが、20代くらいの集まりで「最近若手で流行ってるバンドって何だろう?」という話になりました。
たしかに考えてみると、昨年はセカオワ、ゲス、KANA-BOON、などに匹敵するくらい大流行りしたバンドって出てこなかったような印象です。いいバンドはそれはもう沢山ありますけれど、例えば世の軽音部でこぞってカバーされるとか、CMやアニメで次々と曲が使われるとか、そういう流行り方をしていたのはあまりなかったような気もします。
しかし、そんな中で思い当たったのが、
GLIM SPANKYじゃないか、と。
はい。
閃光ライオットで高校生の頃に有名になったバンドなので、若手とはいえキャリアは長いですね。どこかベテランの風格があるのも、そういう事情かもしれません。
僕はこのバンド、今までに3回ライブで観たことがあるのですが、観る度に会場が大きくなっていっています。
最初が2016年頭の新宿ロフトで、50回転ズ、ボヘミアンズとのスリーマンだったように思います。そして次がリキッドルームで、これはドレスコーズとのツーマンでした。
一番最近に観たのは2017年のカウントダウンジャパンのステージです。この時は見たところ観客の数が何千人といて驚きました。
ファンがどんどん増えていく様をリアルタイムで見ている感じです。
改めてメジャーデビュー後の経歴を追いかけてみると、うなぎのぼりに出世していることがわかります。
2015年にデビューして1stフルアルバムを発表、その年に赤坂BLITZワンマン、翌年にはリキッド、そしてスタジオコースト。映画やドラマの劇伴も多く、特に2016年にはONE PIECEの映画の主題歌にも抜擢されています。
ONE PIECEの映画の主題歌は過去にはバンプ、ドリカム、アグリル、ミスチルなどの大御所も担当しており、そこにデビュー2年で選ばれたのは並大抵の事ではないと思います。
2017年にも勢いそのままに3rdアルバムが発表され、野音での公演がありました。
そして今年にはとうとう武道館だそうです。すげえ。
また、えてして若手で売れてるバンドってアンチがつきやすいものですが、グリムスパンキー に関しては全然そんな話を聞きません。
いいものを作って、ごく真っ当に評価されて世に出てきている感じがまた素敵です。
僕が好きなのは最新の3rdです。
これが本当に良いアルバムで。1st、2ndよりもさらにサイケに寄った音で、ヘヴィだけれど絵本の中の世界のようなきらびやかさもあるというのが絶妙です。往年のロック好きのおっさんの期待にも応えつつ、かわいい綺麗なものが好きな女の子にも抵抗なく受け入れられそうな感じがします。サイケデリックロックへの入り口にもなってくれそうな一枚ですね。
代表曲になっているのは「褒めろよ」「怒りをくれよ」のような、パワーワードと印象的なギターリフでごりごり攻めるような曲ですが、一方でこの人達はゆったりした魔術的な不思議な世界観も持っていて、それが前面に出ているのが3rdアルバムです。アルバム全体の完成度の高さを鑑みるに、そっちこそ本領なんじゃないかとさえ思えてきます。
ともあれ楽曲発表のペースも落ちることなく、まだまだ引き出しの多そうな方々なので、今後どうなっていくかも楽しみです。
願わくばエレカシのように、何十年も活動し続けてくれたらなあなんて思います。