ドアーズのオルガンとギター
お疲れさまです。
仕事納め、学業納めが近づいてきました。
先日、ある人にドアーズのCDを渡す機会がありました。キーボードが格好いいバンドをということで選んだのですが、人に紹介するからにはもう一回通しで聴いておくかということで、改めてドアーズのファーストを何周かしました。
いや、やっぱり良いですね。
ドアーズはほんっっとに独特なバンドだと思います。「独自の世界観」という言葉はバンドの紹介文句に使われ過ぎて意味が薄っぺらになっているという話もありますが、ドアーズに関してはそうとしか言いようがないと思います。
そのぶん時代を感じさせない部分も多く、一周回って現代の感覚でも聴きやすいかもしれません。
フロントマンのジム・モリソンは、この世の終わりのようなトーンの歌声、詩的で難解な歌詞、そして数々の奇行と若すぎる死で知られております。最初聴いた時は歌詞がわからないのにものすごい不安な気持ちになりました。
そして、歌詞を調べてみたらもっと不安になりました。僕の中で「よく分からないけど怖い」という存在の代表格がドアーズです。
でも、なんか聴いちゃうんですよね…。
ど真ん中に天才が立っているので、どうしてもそこに注目しがちですが、周りも周りで大概変態プレイヤーだと思います。もちろん良い意味です。
演奏面に関して、まずはやはり印象深いのがオルガンです。 歌が真っ暗に沈んでいるのと対照的に、オルガンは軽快で明るいフレーズが目立ちます。これがまた歌と組み合わさると非常に不気味でサイコーですね。鬱で精神的に限界まで追い込まれた人が、何故か満面の笑みで踊り狂ってるような、そんな気味の悪さです。
また、明るいけれども絡みつくような中毒性があり、長く聴いていると気分が変になってくる危うさもあります。読んだ本には呪術的なサウンドと表現されていました。
Light My Fireは名演ですね。
一方ギターは、最初どうしてもオルガンの陰に隠れがちな印象があったのですが、これもこれでかなり摩訶不思議なギターです。むかし新宿の洋楽バーへと友人に連れて行かれた際、バーの店主さんがドアーズの話をしていて、ドアーズはギターのコピーをしようとすると指がわけわからない動きになると言っていました。
一般論として、オルガンがメロディ担当でさらにベースレスときたら(そんな編成なかなかないですが…)、ふつう役割分担としてギターはコード弾きが主体になるかと思います。しかしドアーズの場合、単音やアルペジオを重ねるようなフレーズが多くみられます。また弾いているのもどこか大陸的な、民族音楽のようなメロディという印象で、これがドアーズの神秘的な雰囲気に一役買っているように思います。
個人的には、The Endで右チャンネルから鳴り続けているギターが特に心地よくて好きです。
ミーハーな味わい方かもしれませんが、ドアーズは嫌な事があった日の夜に電気を消して爆音で聴くと、ますます落ち込んで最高ですね。
良いことも悪いことも、時にはロックを楽しむ肴です。