ロックンロールで一夜漬け

ロックンロールで一夜漬け

音楽に踏み込む探検日記

エルヴィス・プレスリー没後40年


こんばんは。
クロマニヨンズのツアー、プレオーダー外れました・・・。
何だろう、最近ほんと当たりにくくなりましたね。二次で当たることを祈ります。

先日テレビを見ていたら、今年はエルヴィス・プレスリー没後40周年だというニュースが流れてきました。
そうだったんですねー。

ロックンロール創成期、50年代のロックスターの一人ということで、チャックベリーと同世代ですね。チャックベリーが90歳で亡くなったことを踏まえるととても早逝だったように感じられます。
もちろんそれでも、バディ・ホリーエディ・コクランよりは随分長生きですけれど…。
ていうか、どちらかというとチャック・ベリーとリトル・リチャードがすごいですよね。

亡くなってしまったミュージシャンに関しては当然新作発表もライブツアーもないわけでして、だからこそこういう記念事をキッカケにして聴き直してみるというのが大切です。

さて。

まずエルヴィスのイメージは、大きく分けて2つに分けられると思います。力強くワイルドなロックンローラーというイメージと、甘い歌声のバラード歌手というイメージです。

まずは前者のほう、白人にしてブラックミュージックを基調としたロックンロールシンガーであるという面について見てみます。
ボリューム上げていきましょう。


はい。出世曲のハートブレイク・ホテル、これはブルースですね。サビがなく、16小節をひたすら繰り返す進行です。
エルヴィスに限らず、50年代〜60年代のロックを分かるには当時の時代背景を考える必要があるように思います。
今でこそロックは、白人でも黄色人種でも誰がやっていても違和感のない音楽です。しかしこの1950年代当時は、ブルースやロックンロールというのは完全に黒人が楽しむためのものであり、基本的に白人の聴く音楽ではなかった時代です。その中で、ハンサムな白人の出で立ちでありながら黒人のようなシャウトと腰振りダンスを武器としたエルヴィスは、非常にセンセーショナルな存在だったという事のようです。
また、黒人そのものだったかというとそういう訳でもなく、白人文化のカントリーのフィーリングもちゃんと混じっていて、だからこそ幅広い層に受け入れられたという話もあります。

そのあたりの所を踏まえて見ると、エルヴィスの凄さがだんだん分かってくるように思います。

当時の世の大人達の評価としては「あんなに叫び散らして、しかもクネクネといやらしく腰を振る奴が出てきた、けしからん!」という事だったようで、そこが逆に大人を嫌う若者達にウケたのだそうですね。
Hound Dogや監獄ロックあたりは、今聴いてもパワフルかつセクシーです。

ちなみに問題の腰振りがこちらになります。そんなに下品には見えないのですが、これでアウトだったというと当時はすごくテレビが厳しかったんですね…。
また、雄々しく男性的な面だけでないのがミソです。たとえばTeddy Bearなんていう曲もあって、これは「彼女のクマちゃんになりたい!」みたいな歌詞です。こんなちょっとカワイイ素振りも初期から見せています。意外とナイーブだったり、カワイイ路線で攻めてみたりもしてるんですね。
ヤンキーは実はフワフワしたものが好きだ、とはよくいいます。こういう一面があるからこそ、かえってやんちゃなイメージが際立つというものではないでしょうか。

続いて後者の甘い歌声の方です。

軍役後の60年代に本格的にこの路線になったという話ですが、50年代の曲にも甘〜いラブソングがあります。
Love Me Tenderなんか、監獄ロックとは別人かと思うほど繊細な歌い方ですね。激しい曲での腰振りとはまた違った意味で色気があります。
ロックンロールというと、どうしてもバーン!ドカーン!!みたいなものを想像してしまいますが、 実はこういう元祖といわれるような人でも色々な顔を持っていたような、懐の深いジャンルなんだなと改めて思わされます。考えてみればストーンズRuby Tuesdayがヒットしていたりするので、良いバラードを持っているというのはロックスターをスターたらしめる一要素なのかもしれません。

いずれにしてもエルヴィスに関しては、ガラの悪い不良というイメージはあんまりなく、生き生きとした肉体性と色気、そういうエネルギーに溢れたミュージシャンという印象です。

それは悪とか反体制じゃないからロックっぽくないということではなくて、本来ロックンロールはそういう身体性こそが魅力なのだという事なんだと思います。

 

ゆがんだ唇エルビス、格好いいです。