ロックンロールで一夜漬け

ロックンロールで一夜漬け

音楽に踏み込む探検日記

ロックンロールバンドの脱ロック化?

 

お久しぶりです。

随分間が空いてしまいました。
ちょっと色々やっつけなきゃいけないことが積み重なりまして、実に一ヶ月以上ぶりの投稿となります。

ロッケンローサミットに行ったり、リアム・ギャラガーの新作アルバムがとにかく最高だったり、とてもいいビートルズ考察本を手に入れたりと書きたいことはいくつかたまっているのですが、今回は久々にということもあり、このところずっと考えていることについてまとめてみたいと思います。それは、
「ロックンロールバンドの脱ロック化」
ということです。
今までずーっとロックンロールをやっていた人達が、ここ最近になって急に揃って違う音楽を基軸に動き出している、ような気がするのです。

たとえば、今年の初めにドレスコーズが平凡というアルバムを出しております。

これがもう、ゴリゴリのファンクアルバムだったんですね。
ドレスコーズは、アルバムによってテーマは異なるもののなんだかんだずっとロックンロール、パンク中心の曲を出し続けていたように思います。それが、ここにきて全然違う方向のアルバムが出てきたわけです。もっともこの平凡に関しては、ロックンロールかファンクかというところ以前になかなかブッ飛んだ思想が詰め込まれていて、バンド自体を根っこから作り変えたみたいなもののようなのですが・・・。

このアルバムが出ただけでも今年前半かなり驚いたのですが、なんだかそれ以降も時折、ロックンロールを求めていたら全く他のものに突き当たることが多くなったような気がするのです。

例えば、OKAMOTO'Sです。オカモトズといえば、若手ながらブラックミュージックに傾倒したサウンドが特色のバンドです。じつは僕はあまりじっくり聴きこんでないんですが、今回出た新しいアルバムのリード曲がこのNO MORE MUSICです。

はい。これも今までと随分雰囲気の違う曲になっているようです。
元々オカモトズは幅広く色々やるバンドではあるようですが、泥臭いロックンロールからは一歩離れた所から出来てきた印象です。
どこか音楽業界を憂うような歌詞でもあり、時代の流れを感じてこういう変化に至ったのかな…と思われます。

また、今年のロッケンローサミットでも脱ロックの風潮を感じました。
ロッケンローサミットが脱ロックしたらもうそれロッケンローサミットじゃないじゃん、と思うのですが、そうなのです。
そりゃあ50回転ズはいつも通り最高でしたし、後半のニートビーツ、マックショウ、そしてギターウルフの大暴れによるヒートアップはいつ見ても圧巻でした。
そこは不動としても、おやっと思ったこととして、なんとスカバンドが2つもあったんですね。Bloodest SaxophoneとMORE THE MANというバンドです。Bloodest Saxophoneは港町の船乗りのような出で立ちの渋いジャズバンドで、MORE THE MANはスカパラの元メンバーが若手を集めて作ったという、明るく熱気のあるバンドでした。どちらも演奏すごく良かったです。
ロッケンローサミットには僕はまだ行き始めて数年ですが、こういうロックンロール主体ではないバンドがいくつも出てきたのは近年珍しいことなんじゃないかと思います。
少し前は、終われど終われど革ジャンリーゼントばかり舞台に出てくるようなフェスだったと思うのですが・・・。
今年もすごく楽しかったので寂しいとかはないですが、時代の変化の兆しがここにも見えているような気がしました。


話は前後しますが、このドレスコーズ(というか、志磨さん)とオカモトズの対談が、ちょうどまさにこの脱ロックという話に触れています。
どちらのバンドもほぼ同じ時期にロック以外のジャンルに進んだアルバムを出したということで、そのあたりのことがテーマになっているようです。
これ面白いのが、たとえば流行りの音に近づけてみたとか、はたまたバンドが円熟してロック以外のジャンルに手を出し始めたとか、そういった今までのいわゆるよく聞くような「脱ロック」のフォーマットとは全く別の意図からのアプローチの結果だったらしいということです。
多分この人達はロックの熱量が好きで、ロックをやりたいのに、それをいざ表現にしてみると時代がそれをロックの形に留めさせてくれないという、なんだか難しいですがそのような事のようです。
それは音楽の定額無料配信化や、資本主義の限界が見えてきていることや、そういった様々な事が絡んでの結果なのでしょう。

言ってしまえば、今この時代にロックンロールイェーーイってやってても、それは60〜70年代にロックンロールをやる事とは、根本的にもう意味が違うと。だから、ロックンロールをやっていても仕方がない。
なんとなく、そういう話なのかなーと思います。

聴く側としてはApple Musicで色んな時代の音楽が好き放題聴けるようになったし、ライブ文化も栄えてきたし、楽しいなあってなもんですが、作り手としてはロックンロールってどんどん扱いが難しいものになってきているのかもしれません。

これからどうなってくんだろう・・・。