1960年代ロックンローラーvs2010年代YouTuber
おつかれさまです。
今年は梅雨すっとばして夏になるのかと思いましたが、しっかりジメジメしてきました。
ここでは「昔のロックンローラーと現代のYouTuberって似たもの同士なんじゃない?」ということについて考えてみたいと思います。
こう言い換えてもいいです、
ヒカキンってビートルズなんじゃね?
はい。
なお、昔というのは60年代〜70年代くらいを、今というのは2010年代を想定していただければ幸いです。
まずはこちらをご覧ください。
https://s.resemom.jp/article/img/2019/04/22/50238/232526.html
子供のなりたい職業ランキングの記事です。
YouTuberがトップ10にランクインしています。
こういうのって、質問用紙を配って親や先生の前で子供に書かせるのと、こどもスマホに直接アンケートを送るのとで大分結果が変わる気もするので、どれくらい実態を表してるのか不明ですが、
少なくともYouTuberという仕事が広く認知されていて、一定数の子達は憧れを持ってもいるというのは間違いなさそうです。
僕ら世代ではまだ存在しなかった人達なので、へえーと思ったものです(ちなみに、ぼくははじめしゃちょーとタメです)
それで、「YouTuberってどうしてここまでポピュラーになったのかなあ」という、手垢のついたテーマを改めて自分なりに調べたり考えたりしてみた結果、
YouTuberが持ってる魅力って、ことごとく昔のロックンローラーが持っていた魅力に似通っているように思えてきたのです。
さて、まずYouTuberについて考えましょう。
人気の理由の一つとして、YouTubeが若い世代にとってとてもアクセスしやすい身近なコンテンツだということが挙げられるでしょう
いまや小学生でも普通にスマホを持っていますし、一歳や二歳の子供さえ、お母さんにYouTubeの動画を見せられてあやされています。コロコロコミックで好きなYouTuberランキングを取ったりもしてるようですね。
こういった背景をふまえると、YouTubeで注目を浴びている人に憧れるのもさもありなんという感じがします。
また、「若い世代の側に立って活動している」というのも一つあると思います。
オッサンが過去の話を延々としているチャンネルがバズったという話は聞いたことがありません。ていうかそういうのは学校に行けばイヤでも耳に入りますね。
人気があるのは、ゲームの実況をしたり、縁日のくじを買い占めてみたり、身近なもので遊んでみたり…というものでした。小中学生向けといったらそれまでですが、それはつまり若者の側に立って活動しているということに他なりません。
分かりやすく若い世代の興味や考え方に寄り添っていて、しかも一個の動画は数分で短く観やすくキャッチーです。
また、このあいだ不登校YouTuberが話題になりましたが、ああいった形でメッセージ性も付加しうるものでもあるようですね。そのあたりはテレビ番組に出る芸能人にも性質が似ていますが、YouTuberは映像作りから編集までDIYでやっているぶん、より身近な印象です。
いい意味で、近所に住んでるお兄さんっぽい。
いわゆるギョーカイ人と素人さん、というような距離感じゃない。あくまで同じ目線でいて、別世界の人間という感じがしにくい、と。
そしてもう一つ、これが大きいと思うのですが、「なんだか自分にもできそう」という感じがすることです。
あくまで「できそう」という「感じ」です。じゃあやってみろよってなったら大変難しいに違いないのですが、この「できそうな感じ」というのが大事です。
YouTubeにおいては、録画録音機材さえあれば、とりあえず動画を作ってアップすることは誰でもできます。機材というと大仰ですが、スマホでも編集アプリを上手く使えばそれなりに何とかできそうです。
どこに住んでいても、何のコネもない状況でも、特権階級でも何でもない普通の人でも、ネタとスマホがあればそれっぽいことはできる、と。
もちろん、それっぽいことを本当に仕事になるような良いものまで持っていくのは大変なことですし、メチャメチャ狭き門だとは思います。でも実際に、小学生でYouTuberとして大当たりしたという話もありますね。
この「自分にもできるんじゃないかな??」という気持ち、10代ではすごく大きな魅力だと思います。
以上まとめますと
・アクセスしやすい、非常に身近
・若い世代向け、短くて観やすい
・作り手と受け手の目線が同じ
・自分にもできそう、と思える
ここまで考えて、こう思うわけです。
これ、ロックンロールじゃん。
60年代前半にビートルズが世界中で大ヒットした理由は様々ですが、その中の一つに、彼らがいたって「普通の若者」像を持っていたという事実があります。
作っている音楽こそとても革新的なのですが、インタビューや記録映像でみる彼らは、はしゃいでみたり冗談言っておどけたり、ごくごく普通の若者です。カリスマ風の雰囲気も出しませんし、実は全然スター然としていない。だからこそ、世界中の若い世代が彼らに共感したわけです。
また、YouTuberの動画がDIYであるように、ロックンロールは自作曲の文化でもあります。それまでのポピュラーミュージックは作曲者が別にいて歌手がいてというのが普通だったのですが、バディホリーやビートルズが自ら作詞作曲を手がけて演奏まで行うというスタイルを打ち立てました。
また、多くのロックンロールは一曲せいぜい3分、短い演奏です。その中にカッコいい音と綺麗なメロディが詰め込まれていて、楽しく歌って踊れるという音楽でした。また創成期はシンプルなラブソングがほとんどでしたが、やがて社会的なメッセージや思想を組み込むようなジャンルにも成長していきました。
そして演奏するには熱量さえあれば高度なテクニックは必須ではない、という音楽でもあります。だからこそ「これならオレにもできるぞ!」という気持ちでギターを手に取った若者は数知れず。僕もその端くれです。
はい。
このように並べて考えると、何となくロックンローラーとYouTuberは時代の中でのポジションが似通っている気がしてはこないでしょうか。
最初の話に戻ると、いまYouTuberに憧れてる子供の何割かはもしかしたら昔ならロックンローラーに憧れてたのかもしれません。
ヒカキンの動画にはしゃぐ子供は、60年前ならビートルズを聴いてはしゃいでいたのかもしれない。
また、これ大事なのですが、YouTuberおよびその一連のムーブメントを「よくわからん、なんとなく面白くない」と毛嫌いしてしまうことは、60年代当時にビートルズを「幼稚だ、音楽的深みがない」といって否定していたつまらない大人たちと同じになってしまう事に他なりません。
僕はやっぱり音楽が好きなので、じゃあロック聴くのやめて実況動画を毎日観るかって事にはならないのですが、そのへん柔軟に楽しんでいけたらなーと思います。