ロックンロールで一夜漬け

ロックンロールで一夜漬け

音楽に踏み込む探検日記

Apple Musicを使い始めた

 

 こんばんは。

先週クロマニヨンズCDJの抽選を申し込みまして、今週その結果が出ます。どっちも倍率は高そうなのですが、はたして。

 

実は先月から、Apple Musicを使い始めました。気がついたらコンビニのプリペイドカードで支払いできるようになっていて、じゃあやってみるかとなった次第です。今まで手を出してなかったのはレコード好きでアナログ嗜好だからという事ではなく、純粋に手続きの問題ゆえです、はい。

いや、それにしてもこれ、すごいですね。

世間的には何を今更なのだと思いますが、改めて驚きました。

洋楽であれば、僕が聴きたいような程度の範囲のものならほぼ揃っている印象です。例えばビートルズなら主要アルバムはもちろん、最新の映画EIGHT DAYS A WEEKの音源アルバムなどもしっかり聴けるようになっています。

その他ロックンロール、ブルース、70年代パンクなどなど、普段iPodやレコードで聴いている洋楽はほとんどあるようでした。

今までなんとなく避けていたストロークスリバティーンズなどのガレージロックリバイバルにも思わず手を出したりしました。

CDを買うより、ましてツタヤで並んでるのを借りて聴くよりもハードルが圧倒的に低いです。「どんなバンドか、ちょっとググってみっか」くらいのノリでフルアルバムが聴けてしまいます。ものによっては歌詞もついてます。

それだけでなく、自動でおすすめのプレイリストを作成して表示してくれるという機能もありますね。正直、こういうのはどうなんだろう?とあまり期待はしていなかったんですが、ベスト盤よりも少ない曲数でポイントを押さえてくれて、さらに「そのアーティストに影響を与えたサウンド」として他のバンドも紹介してくれます。

個人的には、この関連アーティストにつないでくれる機能がありがたいですね。どうしても好きなバンドに関しては「はじめての〜ってプレイリストなのに、なんでこの曲がないんだ!」というのはありそうですが、まあそれはそれで本家のアルバムを聴けばいいわけで。とっかかりとしては十二分にいい機能だと思います。

 

ただしその一方で、邦楽はそんなに何でもかんでもはないかなあという印象でした。

特に歌謡曲は、例えば小田和正中島みゆきはほとんどなかったです。もちろん昭和歌謡まったく無いよってわけではなく、山口百恵はないけど松田聖子はあるといったような様子です。権利を持ってるレーベルの関係なのでしょうか。

その他ラルクスピッツバンプなど誰でも知っているような大御所も、時々まだ入っていないのがありますね。ちなみにヒロトマーシーの曲も、ブルーハーツからクロマニヨンズまで一貫して全く出てないです。

一方で、若手のインディーズバンドの曲が結構拾えるのは意外な収穫でした。挫・人間やヘルシンキラムダクラブなんかもあるんですね。若手バンドは参入するという風潮なのでしょうか。

聴く側としてはいいことですけど、ブレイク前のバンドの曲をApple Musicで漁ることに関しては、なんだかある種の背徳感がありますね。どうしてもCDと比べると、バンド側への利益が少ないそうなので…。 便利には違いないですが、やはり色々考えさせられてしまいます。 

 

長くなりましたがApple Music、食わず嫌いせずに試してみてよかったと思います。手が出せる範囲も広がったし、なにより「音楽を掘る」という楽しさをちゃんと大事にしている点がとても好印象でした。

まあ、欲張った結果、ツタヤで借りたCDをパソコンに落としながら、スマホApple Musicで好きなバンドを探しながら、後ろではクロマニヨンズのレコードをかけているという、訳がわからん感じになってしまいましたが…笑 

いち個人としては、手が増えたつもりで色々併用していくのが楽しみです。

 

来週までにクロマニヨンズの新作をもうちょっと聴き込んで、次で何か書けたらいいなと思います。

 

 

ヘルシンキラムダクラブ

こんばんは。

 

クロマニヨンズのチケットの抽選を外してやや傷心です。しばらく応募してみます。

 

先週、ヘルシンキラムダクラブの新作アルバムが出ました。昔いちどライブを見かけてから何となく気になり、ワンマンにも一回行ったことがあります。

この新曲がとてもよかったので、今回はそのことについてです。

 

この曲がアルバムの一曲目になります。

This is a penって。

コーラスがとても印象的だと思います。メロディがいいのもあって、ついつい口ずさんでしまうような曲です。また個人的にはソロ後から転調までの流れもお洒落で好きです。 

なんでThis is a penなのか分かりませんが、なんだかこれが日常的でちょっと抜けてる感じの空気を醸し出しているように思います。

ライブでラストにやったりしている曲でAll my lovingというのがありまして、これと同じ良さがあるように思います。ようは印象的なフレーズを連発していく手法ですね。ギターリフでドンと始まって、キャッチーなコーラスで押し切って短く終わるのが潔くて好きです。

 

また、個人的にこのバンドのツボな点として、ちょっと力が抜けててふざけてるというのがあります。曲や演奏は作り込まれてて、おそらく音楽好きで色んなものを聴いてる人達が真剣に作ってるんだなっていう感じなのに、タイトルとかPVは遊び心が入ってるというかですね。

全体的にゆるい空気が漂ってるのは、良いロックバンドの証拠だと思っています。

クロマニヨンズストーンズもゆるいし。

This is a penのMVのコメント欄で、ペンパイナッポーアッポーペンと間違えて釣られた外人がコメントしてるあたりとか最高です。

ていうか、This is a penってYouTubeで検索をいれると、ピコ太郎に挟まれてヘルシンキラムダクラブが出てきます。いいのかこれ。

 

これからツアーだそうで、予定がちょっと微妙なのですがまたワンマン行きたいっすねー。

 

ていうか最近ライブ行ってないな…。

 

 

チャックベリーの新作発表

 

こんばんは。カボチャが美味しい季節ですね。

 

表題の通りです。ま、マジで…?

マジだそうです。なんてこった。

チャックベリーは前にも取り上げましたが、ロックンロールの創始者の1人とも言われる超大御所ですね。マーシーが憧れたキースリチャーズが憧れていた世代のミュージシャンです。

なんと今年で90歳になります。

・・・リトルリチャードといい、50年代ロックは健康に良いのでしょうか。バディホリーも事故に遭わなければ、いまだ現役で活躍していたかもしれません。

チャックベリーがご存命なのは知っていましたが、まさかアルバムを出すとは。しかも新曲って。先日ストーンズが70代になって新しいアルバムを発表したことで驚きましたが、あれはあくまで既存のブルースのカバーです。そういう意味でも今回のこれはそれ以上の衝撃です。さすが。

90歳がロックンロールのオリジナルアルバムを出すって前例あるのでしょうか。きっとないです。

しかしながら、一つ心配なのが・・・。こちらの動画です。

帽子がイカしてます。

2014年とあるので、最近のチャックベリーのライブですね。88歳でステージに立っているというのも壮絶なハナシです。

そうですが、そうなのですが、えー、肝心の演奏、正直ちょっと微妙では・・・。

チャックベリーといえばハチャメチャな事で有名です。若い頃でも、海外ツアーで適当に現地で買ったギターで本番を迎え、バックバンドもその場で用意、選曲は自分勝手その時次第。なんてのは序の口で、あろうことか曲のギターソロ後にメンバーに耳打ちして突然キーを変えさせるよう指示したなどという逸話もあったと記憶しています。とはいえやはり伝説は伝説、そのギターセンスや独特の歌い方はやはり他の追随を許さず、結果として周囲はその無茶に付き合わされるしかないというのがチャックベリーのイメージです。

ひるがえって、この現代。

ダックウォーク・・・は流石にやられたらかえって心配になるからいいとして、歌はギリギリ何の曲を歌ってるかわかる程度、ギターも全盛期の跳ね回るような勢いが影を潜めているように思います。

いや、万が一にチャックベリーが来日したらその姿を見届けに観には行きますが、新曲をレコーディングするというのはどうなのでしょうか。

ご子息がレコーディングに参加しているとのことで、周囲の助けがあればよい作品になるかもしれませんが、果たしてチャック本人の歌とギターはどれくらい聴けるのか。そういった意味で、楽しみでもありなんだか聴くのが怖いようでもあります。発売は来年ということで、今は待つのみです。

それにしても、これで90歳になってもロックンロールでアルバムを出せてしまうことが証明されました。この事実は、後続のポールやミックやキース、ひいてはヒロトマーシーやダニードリーボギーにはどんな風に感じられるのでしょうか。

90歳の50回転ズとか観てみたい気もします。

是非に。

 

 

EIGHT DAYS A WEEKを観た

こんばんは。

 

無事にブラジルから帰還しました。

帰ってきてすぐに、すでに公開されていたビートルズの新作映画EIGHT DAYS A WEEKを観てきました。

はい。こちらはビートルズのライブに焦点を当てて、デビュー当時から世界的なヒットに至るまでのバンドの軌跡を追ったドキュメンタリー映画となっています。

特にビートルズについては、そういうコンセプトの映像作品は他にも沢山ありそうですが、この映画は今まで未発表のライブ映像やレコーディングの様子なども収録されており、またライブに関しては画質も音質も高品質にリマスターされたものなのだそうです。

今回はこの映画の感想になります。

 

観に行ったのは平日の昼間で、お客さんは60〜70代の方々が多く、ほとんど夫婦や友達で来ている風でした。この方々も50年前はビートルマニアで、来日の際に空港で手を振っていた1人だったりするのかなぁなどと思うと、なんだか感慨深くなりました。

あと少ないですが20代もいて、やっぱり好きな人は好きなんだろうなと思いました。

ビートルズに関しては聴いてる人そこそこいふように思います。

 

肝心の内容ですが、まずとにかく驚いたのは映像がとても綺麗なことです!

初期のライブは60年代にもかかわらずカラーの映像が多く、しかも現代のフェスのライブ動画などと比べても遜色ないくらい綺麗でした。メンバーの表情はもちろん流れる汗まで見えてきそうなくらいの臨場感がありました。

なんだか同世代の若者のようにさえ見えてくるから不思議です。

また、インタビューやレコーディング風景でのメンバーの姿も印象的でした。とても無邪気にくだけた雰囲気で、スターというより普通の大学生に近いような印象です。当時若者の代表のような存在になっていたというのも、なんだかうなずける話です。リンゴが凄いヘラヘラしている…。

ヒロトマーシーもインタビューでは大体いい意味でふざけたような発言が多いですが、その態度もビートルズを見習ったものなのかもしれないなと思いました。

 

 

映画の中のライブ自体も、パワフルで素晴らしいです。やっぱり初期は勢いがあっていいですね。特に赤盤の曲はかなり収録されていたように思います。

スタジアムに入場してくる様子なども含めて、リアルに実感することができます。

また半ば暴徒化したファンの様子もよく映し出されていて、当時まだロックバンドのコンサートの管理の仕方が全然できあがっていない時代だったからこその混乱も描かれています。

ファンが喚き叫び、PA設備も不十分で音も何も聴こえない、そんな中でライブを行うことに嫌気がさしてしまった、という流れに至ったこともよく理解できました。

ビートルズの軌跡を知るための良い教材でもあり、同時にビートルズのコンサートとしてもリアルに楽しめるものであり、またメンバーの素の姿を知ることができるドキュメンタリーでもある、とても見応えのある映画だったと思います。

DVD出たら買おうかな。

 

 

ストーンズは何処から聴いたらいいのか問題②


こんばんは。

先週、ストーンズの新作アルバムが発表されましたね。
前回ストーンズについて書いたのはたまたまだったのですが、あまりにタイミングがジャストで驚きました。
聞けば、ブルースのカバーが中心のアルバムだそうですね。やっぱりブルースバンドなんだな…。
新作アルバムは11年振りとのことで、「ストーンズの新作を楽しみに待つ」ということ自体がもはや嬉しいです。好きなバンドがメンバーほぼ全員70過ぎてまだ活動してるなんてそうそうあることではありません。
今回は先週に引き続き、ローリングストーンズはどこから聴き始めたらいいのかという問題について、答えのない議論をしたいと思います。
たのしいよ。
前回までのところでは、ストーンズの曲はブルースを基調としているがゆえにいくらか聴きづらい部分があって、だからこそロックンロール主体のベスト盤からが良いのではないかと考えました。
そこで今回は、アルバムではなく単曲でいうとどのあたりが良いだろうかということを考えたいと思います。

以降、4曲ほど挙げてみました。


・Jumping Jack Flash

まずは有名どころで、ストーンズ知らなくてもこの曲は知ってる人が多いのではないかと思います。ストーンズの中ではアップテンポなロックンロールで、ミックの勢いのあるボーカルにダンス、キースとロニー(或いはミック・テイラー)のツインギターの絡み具合、そして手数は少なくシンプルなのにとても聴き応えのあるチャーリーワッツのドラムと、各メンバーの良いところが詰まった曲だと思います。
歌詞に関しては「俺は悪魔の息子だぜ〜細けえことは気にすんな!」って感じで、分かりやすい方なんじゃないかと思います。
It's a gas, gas, gas!


・Satisfaction

出世曲ですね。これも有名どころということで…。
以前これについては書いたような気がしますが、個人的なこの曲の聴きどころはイントロのキースのギターリフです。
ダッダー、ダダダーです。シンプルなパワーコードをガツンとぶつけるという点で、これはパンクロックのルーツの1つとも言えるのではないでしょうか。
俺は満足してねえぞ!って歌詞で、I can't get no〜は二重否定かと思いきや、全ッ然満足してねーよ!という否定の強調です。スラングで柄の悪さを前面に出した戦略のひとつがここにも
ビートルズは中学生の英語の授業で扱われても、ストーンズはお勉強には使えなさそうです。

 

Doom and Gloom

実は今回の一押しがこの曲です。
2012年のGRRRR!!に収録された、最新のシングル曲です。Jumping Jack FlashやSatisfactionは60年代の曲で、つまり50年前の曲ってわけですが、Doom and Gloomはたったの4年前、最前線のロックンロールです。

この曲、個人的にとてもノリやすいと思います。リズムは比較的ストレートで、キースの5弦ギターによるバッキングが印象的です。左手で何にも押さえずにジャジャッと弾く姿がかっこいいですね。
これ、ブルース色も勿論ありますが、むしろパンキッシュといった方がいいような気さえします。そのぶん、より現代的でとっつきやすいのではないでしょうか。
また、個人的にMVが良いなと思います。歌詞がペンキでベタ塗りされていく表現のバージョンと、そのまま歌詞の内容が映像化されているバージョンがあるので、曲の世界観が分かりやすいんですね。
まあ、映像の方は18禁版なんですが。
こちらちょっと閲覧注意です。

イカすぜ。

 

・Midnight Rambler

ロックンロールの方がとっつきやすいといっても、やっぱりストーンズを聴くならブルースも押さえたいところです。
ということでアルバムLet It BleedのB面1曲目、ミッドナイト・ランブラーを取り上げたいと思います。
件のForty Licksには入っていませんが、ライブでは定番曲のようです。曲中で変わっていくリズムに、曲半ばの楽器陣の絶妙なタメ合戦が秀逸です。うねるグルーヴとはこういうもののことを言うのでしょうか。

またこの曲では、キースがダイスという愛称で知られるダブルカットのLes Paul Juniorを使用していることも個人的にツボです。

 

以上4曲、白状しますと、僕がストーンズにハマりたての頃に聴いていた曲です。

ですので、もしかしたら個人的な思い出により偏っているかもしれません。しかし、実際このあたりが入りやすく、しかも変な誤解をせずにバンドのことを知ることができる曲たちであるように思います。

僕は、これらの曲から入れて良かったと思っています。

いかがでしょうか。

 

また番外ではありますが、ライブドキュメンタリーから入るのも1つアリだと思います。

Shine a Light というドキュメンタリーです。これは1本通して代表曲も多く押さえられていて、僕はとてもお気に入りです。

 

ストーンズが好きになると、ロックンロールはもちろん黒人のブルース、ひいては60年代という時代の文化そのものまで視界がとても開けるので、楽しいことがすごく増えるのも良いところです。

どうやって勧めたものか。

 

 

 

ストーンズは何処から聴いたらいいのか問題①

 

こんばんは。

土日はアマゾンのジャングルに居りました。

ピラルクとパイナップルが美味しかったです。

 

今週来週はローリングストーンズについて、前後編に分けて書いていきたいと思います。よろしくお願いします。本記事は前編になります。

前編だけで2000字超えました。わっしょい。

 

先日、このような動画を見ました。

 

山田玲司ヤングサンデーで、ゲストに志磨遼平とキングブラザーズのマーヤが来ていた回の一幕のようです。

志磨遼平にマーヤといったら、ロックンロール好きからしたらまず間違いのない組合せだと思います。そのお二方がお悩み相談に答えているコーナーですね。

相談内容は21歳男性の方で、絶対に聴いておくべきロックンロールのアルバムを教えて下さい、というものです。

それに対するマーヤさんの答えが、

ザ・ローリング・ストーンズ -Forty Licks

・ザ・ダムド-地獄に落ちた野郎ども

ギターウルフ-全部

でした。な、なるほど…。

なお僕はストーンズのForty Licksは高校の頃からずっと聴いていて、ダムドはベスト盤だけで、ギターウルフYouTubeで代表曲はさらっていてライブで1回観たという状況です。一応外してはいないものの、まだまだ修行が足りないようです。

それはさておき、今回この中で特に取り上げたいのがストーンズです。

ストーンズに関して、マーヤさんは「アルバムとしてはBeggars Banquetを推したいけど、まずはベスト盤のForty Licksを聴きなさい。そしてもしこのアルバムを聴いて何も燃えるものが無かったら、ロックンロールやめなさい。」とのことをこの動画の中で言っております。

よ、よかったロックンロールやめなくて良さそうです…。

ここのところ、非常に奥が深い問題だと思います。つまり、

「現代の日本の若者がローリングストーンズを聴くにあたって、どこから手を付けたらいいのか?」

という問題ですね。

要するに、はっきり言ってローリングストーンズの良さは最初は分かりにくい事が多いというわけです。

マーヤさんも志磨さんも言っているのでここは言い切らせていただきます。

例えばの話、前前前世を聴いてロックに興味を持った中学生が今いるとして、ロックという大雑把なくくりでたまたまローリングストーンズを借りて聴いたら、ストーンズにハマれるか。これ、かなり厳しいと思います。

あくまで仮説として、その理由を3つほど考えてみました。

 

①歌詞が頭に入ってきにくい

英語だから当たり前だろというのはもっともですが、例えばビートルズのHello,Goodbyeなどは中学一年生でも分かるような平易な英語で作られていまして、こういうのなら入りやすいと思います。それに比べてストーンズは、ドラッグや悪魔やセックスや何やという教科書には永遠に載らないであろう単語が溢れていて、しかも時にはそれらが隠喩で遠回しに表現されていたりもします。

ブルースとはそういうものなんじゃいと言っても、ここは日本人としては苦しい所です。

 

②テンポが比較的遅い

歌詞がなくても音だけで十分格好いいじゃないか、というわけですが、これもやっぱり難しいと思います。その理由のひとつが、代表曲でも比較的テンポがゆったりしているからです。ゆったりといってもBPM140〜150くらいの曲で決して遅くはないのですが、それこそ前前前世のような180近いテンポの曲をロック音楽の速度基準として持っている人からすると、遅く感じると思います。やはり速い曲の方がインパクトが強く入ってきやすいので、ここも難しい所だと思います。僕自身も高校の頃はブルーハーツからストーンズに行って「ロックにしてはなんかモタモタしてるなあ」と思った覚えがあります。

慣れされすれば、あのミドルテンポの絶妙なリズム感が最高だぜってなもんですが…。

 

③ブルース色が強い

これは①と②の複合というか、そもそも①②のような事態になっている原因というか、そういうことなのですが。

そもそも、元々ローリングストーンズはブルースバンドです。キャリアを続けるうちにロックンロールの曲で人気が出たためロックンロールバンドになっていったというだけで、最初はマディ・ウォーターズなどの伝統的な黒人ブルースに憧れていた集団だったそうです。

この黒人ブルースというのが難関で、歌詞は先程触れたように隠語だらけで難解、テンポは遅い、メロディはほぼ無しで言葉をそのまま呟いたり叫んだり、そしてリズムは演者の気分次第という非常にプリミティブなものです。

必然的にストーンズの曲もメロディラインははっきりしていなく、リズムも独特のタメのあるフィーリングに溢れたものが多いです。

日本の音楽は歌謡曲のようにメロディが非常に明確なものが大半なので、根本的な文化の違いが立ち塞がってくるわけです。

マーヤさんが勧めていたBeggars Banquetはストーンズが正にこのブルースへの回帰を目指したアルバムで、アコースティックも多くストーンズのアルバムの中でも特にブルース色が強い内容となっています。その分、ブルース由来だからこその悪魔的、呪術的な魅力が詰まっていると評価されています。確か甲本ヒロトも1番好きなストーンズのアルバムとしてBeggars Banquetを挙げていたように思います。

しかし上述のように、ブルース由来だからこその聴き辛さもとりわけ強いと思います。

 

その一方でベスト盤のForty Licksは、ロックンロール色が強いキャッチーな曲が多数収録されています。だからこそ比較的聴き易く、またロックンロールを知る上で非常によいということなのだと思います。

ロックンロールを知りたければForty Licksを聴くべし、そしてさらにロックンロールの源泉であるブルースの呪術的な魅力に触れたければBeggars Banquetを聴け、ということではないでしょうか。

 

はい。今回はここまでにして、後編ではForty Licks以外に入りやすそうなアルバムはないか、またYouTubeで単曲からというのはどうかというところを中心に考えていきたいと思います。

 

ありがとうございました。続きます。

ジョージ・ハリスンは格好いい

 

こんにちは。

そろそろ夏というには厳しい時期になってきましたね。

ちょっと今ブラジルにいて時差が良く分からないのですが、もう月曜日であってますかね?

 

今回はジョージ・ハリスンについての話です。

ジョージ・ハリスンです。

ロック史においては言わずと知れた名でありながら、でも巷の軽音サークル所属の大学生に聞いたら名前が出てくるかちょっと分からない、ビートルズのリードギタリストです。

僕はビートルズでならジョージ推しです。もちろんジョンもポールもリンゴも格好いいですが、敢えてビートルズは誰推しかという話題になるとしたら、ジョージを推したいと思う所存です。よろしくお願いします。

はい。まずジョージハリスンがどのような人かというところですが、一言で言ってしまえば初期から解散に至るまでビートルズのリードギタリストを努めていた人物です。ビートルズというとレノン・マッカートニーすなわちジョンレノンとポールマッカートニーの作曲コンビが何より有名ですが、ジョージ作曲の曲もおおよそひとアルバムに1〜2曲は含まれていて、有名曲のいくつかにも彼の作品があります。

特に後期のビートルズにおける曲の評価は高く、ビートルズの実質的ラストアルバムであるAbby Roadに収録されているSomethingやHere Comes The Sun、また同じく後期のホワイトアルバム収録のWhile My Guitar Gently Weepsなどが有名ですね。

ビートルズ解散後のソロ活動としても、アルバムAll Things Must Passは全英全米で第1位を記録しているなど、むしろビートルズ時代よりもさらに活躍しているような印象さえあります。

以上のようにジョージハリスンは、ジョンレノンとポールマッカートニーという2人の天才に隠れた、基本的に遅咲きのミュージシャンであったと言われています。

僕が個人的にジョージ推しな理由のひとつとして、この遅咲きな所にもあります。

例えば少年漫画でいうと、最初は全然強くなかったのに作中で急成長して最終的には主力クラスに昇格したキャラのような立ち位置だと思います。

ドラゴンボールでいうクリリンのような。

ジョジョ4部でいう康一くんのような。

その例えでいくと、悟空や承太郎がポールやジョンになりますでしょうか…。

それはさておき、逆にビートルズ初期のジョージの評価はお世辞にも高くないものであることが多いです。その大部分が、技術的にどうしても拙いところがあるというものです。

真ん中に立ってるのがジョージですね。

別に、下手ではないと思うのですが…。

おそらく全世界で空前絶後の売れ方をしたロックバンドのリードギタリストとしては、今少し足りないということなのでしょうか。ビートルズは世界で1番売れたかもしれないけど、ジョージは世界で1番上手いリードギタリストではなくないか、と。本来、リードギタリストってツェッペリンでいうジミーペイジみたいなもので、ボーカル並に目立つポジションですからね…。

もちろん、ジョージが残した音楽的な功績もいうものもあります。主なものとしては、インド音楽をロックに取り入れたという点があります。ビートルズのアルバムRevolverを聴いていると、途中明らかに文化圏の違う国からやってきたような曲があります。それがLove  You To という曲で、ジョージの作曲です。

 

この曲ではインドの楽器であるシタールが使われておりまして、こういった異国情緒をロックに取り入れていた点は当時では革新的だったようです。

とはいえ、やはり実力的な面で、あるいは年下だったこともあり、メンバー内でもジョージはないがしろにされがちだったといいます。実際ビートルズ中期にさしかかると、レコーディングで他メンバーが曲のギターソロを弾いている場面も散見します。例を挙げると、Taxmanのギターソロなどはポールが弾いたことで有名ですね。他メンバーに「自分で弾いた方が早い」と思われていた(かもしれない)というのは、リードギタリストとしてはしんどいところだと思います。

さらに私生活でも、嫁をエリッククラプトンに寝取られるなど散々なエピソードがあります。
ちなみに、そのジョージの嫁を思ってクラプトンが書いた曲があのLaylaです。厳密にはクラプトンとくっついたのはすでにジョージと離婚した後だったそうですが、それにしても。

 

しかし、そのように公私に不遇な面がありながらも、 後期〜ソロのジョージの曲は、非常に穏やかで優しい雰囲気のものが多いのです。

この優しい雰囲気というのが、僕がジョージ推しである最大の理由です。例えば、

お日様が気持ちいいよ、きっと大丈夫だよ、というような曲もあれば、

お互い傷つけ合うなんて、悲しいことじゃないか…と語ってみせたり。

歌詞もそうなのですが、アルペジオの音選びや音像がとても温かな包容力に満ちているように感じられます。

この曲などは、イントロのスライドギター(シンセかも)のキュイィーンって音だけでもう

「ああ…争いごとはやめよう…平和に暮らそう…」

って気持ちになりますね。なりませんかね?ちなみに、ジョージは嫁を寝取ったクラプトンともとても仲良しだったようです。いや、いやいや。

ビートルズとしての多大な栄光、それと共に恐らく世界中から受けた批判、そしてグループ内での扱いの低さ。そういったキャリアの果てにこのような境地に至ったというあたり、この人はホントにいい人なんだろうなぁという気がしてなりません。

もしかしたら、ビートルズの中で本当にLove and Peaceを体現しているのはジョージだったかもしれない。とさえ、思います。

そこが大きな魅力の一つだと思います。

 

特にAll Things Must Passのアルバムは、落ち込んだ時にも穏やかな気持ちになれるので非常にお勧めです。